花を扱うには、それなりの素養が必要です。でも、初めは誰でも素人ですから素直に学習すれば失敗はありません。花の観光施設を手伝っていた頃のことです。私が側に付いている時はストレリチアの花を切るのに何も問題はなくても、一日休んだ翌日、行ってみると無残な結果が待っているのです。
私がいないのをいいことに、いつもだったらやらせてもらえない、蕾の状態を切り取った跡が残されているのです。これが起きるのは一度や二度ではありません。いつものことなのです。
「あのお客さんが持ち帰った早切りの花は咲かずに終わってしまうだろう」
と思うのですが、本人は、自分が間違ったことをしたとは思わず、他に原因を探していることでしょう。早切りすれば、その分、長持ちすると思っているのに、私がいる限り、やらせてもらえなかったのですから。
花は開花のメカニズムに従っています。開花直前の蕾ならともかく、あまりにも早切りされると養分の補給が受けられず、開花の進行が止ってしまうのです。完全な開花とは、必要な養分が十分に与えられて完成します。その状態であれば、花の寿命、いっぱい生きてくれるでしょう。この時こそが[切り時、切り前]なのです。
ただ、難しいのは季節によって幅があることです。季節とは気温です。私は規準を「25°C」とみています。本州の暖地でいえば10月中旬頃です。これより暖かければ少々の無理は利きますが、これ以下になるにつれコントロールが出来なくなります。最高気温20°Cぐらいは取るにらいでは1輪開花が目安でも、15°C以下になったら、2輪開花を待ったほうが無難です。
花が開くとは、言葉を換えれば、「養分が全体にゆきわたること」なのです。養分不足の早切りの花が長持ちしそうに思えるのは誤解も甚だしいというべきでしょう。
