ジャンセアの特徴については今までにも述べてきましたが、ここで、 もう少し補足してみましょう。まず、花です。 ボンヤリ眺めればレギーネと変わりませんが、 厳密に見てみると、少し違いが分かります。 オレンジ色が濃いのです。 しかし、慣れない人は、並べて比べないと分からない程度です。 形や大きさにも差があります。 苞の長さが短く、ずんぐりとして、花弁にみえる萼も短く、全体が小さく、 まとまっています。
開花期にも違いがあります。 極早咲きはなく、 早咲きも少なく、全体として遅くなります。 これらの変化は、レギーネの自生地から、もっと厳しい条件の土地へ移住するために身につけたにちがいありません。
ところが、 最近、登場してきた 「ジャンセア ゴールド」 は、 これにあてはまりません。原因は、レギーネの遺伝が入ってきたためです。 つまり、両者の中間の性質を示す「パーヴィフォリア」と同じ遺伝構成だからなのです。 「ジャンセア黄色原種」の元株は、 ジャンセア、そのものだったのですが、子孫を生み出すためには、レギーネの遺伝を借りなければ出来なかったことの結果といえましょう。
私、個人的には、 ジャンセア純系の花は好きです。 しかし、この花と付き合うのは、他のストレリチアより骨が折れます。 それはジャンセアが身につけてきた 「守り」の姿勢からくるもので、大量生産や促成とは縁遠いからなのです。 それだけに、 ジャンセアの花は貴重といえるでしょう。