ストレリチア秘話No.560 厄介なストレリチアの根

 これはストレリチアの植え替え時に必ず持ち上がる重大事です。ストレリチアの根は二重の構造になっています。まずは、地下茎(貯蔵庫であって、根ではありません)が伸びて、その上に枝根が出て、その先に毛根(これが本来の根)がつきます。この毛根は細くて脆く、植え替えの時には土の中に残って見えないことが多いので気づかないで終わってしまうことが多いのです。従って、新しい土に伸びてくるのを待つしかないのですが、これも私たちの目には見えないところで起こっていきます。

 厄介なのは、貯蔵根の扱いなのです。太い根(根にみえるだけ)の中心は丈夫な筋(雑管束)があり、しなやかに出来ています。その周りが、大根やニンジンと同じ構造で水分、養分の貯蔵庫となっています。困るのは、曲げるとポキッと折れてしまうことです。私がクドく、「根をほぐすな」というのは、このことで、いじれば折れるに決まっているからです。

 いったん折れれば修復は困難なのです。このため、付け根に近い所は折らずにに残し、折るなら被害の少ない先端部分にすることです。勿論、付け根を動かすなど厳禁です。折れた先は働きが鈍くなってしまっていますから遠慮無く、短く、切ってしまっても良いです。まあ、大根やニンジンよりは中心の維管束が残るのは取り柄ですが。

 心配なのは、この植え替え作業で根がなくなってしまって、水が吸えなくなることです。

 結果として新しい根が伸びてくるまでは、今までの貯蔵水分でまかなうしかありません。でも、こんなことは、いつものことですから、あまり、気にすることではないのです。