ストレリチア秘話No.129 ストレリチアにも個性がある

 ストレリチアは1株、1株に少しずつ違いが表れます。しかし、この見た目の違いをここで取り上げようとするのではありません。外側から見たのでは分からない、内部からの反応の違いに目を向けてみようというのです。

 私が南アフリカから持ち帰った黄色種に「ゴールドA」があります。なかなかの優秀な品種なのですが、栽培開始後、しばらくしてから、肥料、とくにリン酸分に敏感に反応することに気付きました。勿論、他の株と比べてのことです。初めの頃は、苞の色が濃い紫紅色で、美しく、喜んでいたのですが、いつのまにか、気がつくと、薄い色の冴えない花を咲かせるようになっていたのです。不思議に思って調べてみると、原因が思い当たりました。

 私が「ゴールド クレスト」の作出に掛かっていた頃で、この株は親株の一つですから大切に扱い、肥料もタップリと、リン酸肥料の骨粉も十分に施していたのです。それが役割を終えたことや、世の中の事情で骨粉が手に入りにくい状況もあって、そうそう、ぜいたくな施肥をしなくなっていたのでした。その結果だったのです。

 ストレリチアは困苦欠乏に耐え、贅沢は望まない、とは大部分のストレリチアに通じはしても、中には、贅沢な欲求が満たされないと、本来の性能が発揮出来ないものもあることを知らされました。このことを考えれば、栽培では1株、1株に合った面倒をみることが理想でしょうが、とても、そこまではやれません。そこで現在では、ぜいたくな株の基準に合わせるようにしています。その後の「ゴールドA」の反応が知りたいですか?

 少々の量の骨粉では不満らしく、最初の頃の花にまで戻っていません。ぜいたくなんです。

 ねえ!株が殖えて数が多いので、もう、付き合いきれません。