ストレリチア秘話No.130 花の好み? 背景があるんですよ

 ブラジルでは、いや、ラテン系の国、と言った方がいいと思いますが

「花は赤い、に決まっている。黄色い花?まあ、葬式に使うぐらいだね」

とは、知り合いの日系人の言葉でした。カリフォルニアから送られてきた花のカタログの中に、茶色の花がいくつも並んでいるのに、不思議な気分になったこともありました。日本人の感覚では、花に登場する色ではなかったからです。ところが、行ってみて驚きました。カリフォルニアの強烈な日光の下では違和感はなく、また、周りの風景にも溶け込んでいました。花に対しての好みは、ただの気分や気まぐれなどではなく、環境や文化との背景があってのことのようです。

 緑色の花にも驚きました。我が国でも「萌葱色」は春から初夏の色として親しまれていますが、こちらは、正確には明るい黄緑色です。普通の緑色は、あまり、登場しません。それがカリフォルニアの強光線の下では映えるのです。薄い黄緑では、きっと負けてしまうのでしょう。私たちは、「これは自分の好みだ」と主張はしても、案外、その元をたどってみると、私たちを取り巻く環境や文化を代弁しているのだ、と言えなくもありません。

 ストレリチアの花は、様々な色で構成されています。萼片のオレンジ色や黄色、花弁の青紫色、苞の明るい緑色から赤、紫紅色と、賑やかで、無いのは白色ぐらいのものです。これが品種によって強調される部分が違って、それが個性となって表れます。これだけ多くの要素を持ち合わせていれば、世界の、どんな環境へ行っても、その内のどれかがピタリと合うことが出来るでしょう。ストレリチアはインターナショナルな試練に耐えられる花なのです。