ストレリチア秘話No.131 花の好み? 背景があるんですよ

 私は多くの人から、よく聞かれます。多分、自分の選ぼうとするストレリチアの基準の参考にしたいからでしょう。

「あなたは、どんなストレリチアが好きですか」と。私の答えは、いつも決まっています。「私は大勢の人を相手にしますので、自分が偏った好みを持つわけにはいかないのです」

と。とはいえ、私のところでストレリチアは、*星から*****星にいたる5段階の評価をしているわけですから、わたしなりの基準があるのは間違いありません。

 今までは、あらゆる点に気を配って総合的な評価をしてきました。基本的にはこれからも大きく変わることはないでしょうが、これからは、個性の際立つ品種には、いままで以上の得点を与えようと思いはじめています。それには、こんな事情があるからです。ストレリチアを1鉢か2鉢しか持っていない時は、総合的な美しさ、性能の株をみること持てば完璧です。しかし、それが。だんだんと発展して数が多くなってくると、似たもの同士の集団になりかねません。

 そこでは、個性の違う株が寄り集まって、全体として、一つのまとまった形となる方が優れている、言えるのではないでしょうか。

 切り花についても、個性が求められている、と思っています。関東、特に東京では、ストレリチアの花は大きい方が喜ばれ、関西、特に京都では、小柄な花に人気がある、といわれます。これは用途によって、例えば、大きな装飾と小品では使う材料が違ってくるということでしょう。また、それだけではなく、文化の違いもあるでしょう。「東男(あずまおとこ)に京女(きょうおんな)」のように、かたや、荒々しく、壮大さを好む、のに対し、かたや、伝統に磨かれ、洗練された美しさを求める差、と言えるかもしれません。

 花の大きさでは、レギーネの花は大きく、ジャンセアの花は、萼片は短く、苞の長さも寸づまりで全体が小さいのです。萼片の色はジャンセアのほうが濃いのですが、これは慣れない人には、比べてみないと分からない程度です。花の大きさでは、レギーネは東京向き、ジャンセアは京都向きとも言えますが、花の消費量では、歴然とした差があるのはどうしようもありません