ストレリチア秘話No.146 植物も情報交換(コミュニケート)する? その 3 

 植物のコミュニケートには、花の咲き方でも出会いました。レギーネの黄色種「ゴールド クレスト」の片親 「ゴールド A」が、良く殖えてきたので、掘り上げ、株分けして3カ所に植えました。その後、しばらくして花の咲き方に違いが出てきたのに気がつきました。それぞれのグループの花の咲く時期がずれていたからです。それも1株のことではなく、グループ毎の違いなのです。株分けしたのですから遺伝形質は全部、同じ筈なのに、です。こんなことは、同じものを数多くもっているから分かるのです。もし、1株しか持っていなかったら、前の年と違った咲き方をしたら気候のせいにしたことでしょう。ですが同じ敷地内で、隣までは5m、遠いグループでも10m以内』しか離れていないのです。気候の影響は皆、同じとみて良いでしょう。この1週間ものずれは、ほかに原因があるに違いありません。

 私には、どう考えても原因が思い当たりません。結局、これはストレリチアの気まぐれで、グループ内が、それに同調しているのだ、と思うことにしました。でも1株だけが、そうするのはいいにしても、他の株までもが従う、これが不思議なのです。そこには、なんらかの通信手段があるのではないでしょうか。

 では、ストレリチアが、なぜ、バラバラな発芽をしたり、開花をずらしたりするのでしょうか?それはストレリチアが生き抜くための戦略だろうと思うのです。仲間を誘うのは、自分一人が生き残るだけでは心細いからに違いありません。ストレリチアの自生地では、年によって極端な気候変動が起こります。こんな環境の中では、皆が同じ行動をしていたのでは、全滅してしまう危険があります。どれが当たるかは分からないにしても、色々、違う存在を広めておけば、どれかが生き残る可能性がある、ということではないでしょうか。

 ちょっと厳しい生き方だなあ、とも思えますが、こんな感じをもつのは、私が、少々、優しい自然環境の中で育った日本人だからかもしれないな、と思っています。