私は今まで「ストレリチアの寿命は数百年から千年であろうと」述べてきましたが、近頃では、もっと長く、無限か、或いは無限に近いのではないかと思うようになってきています。いずれにしても、直ぐに分かることではありません。その年になってみて初めてわかることですから、これは仮説にすぎません。まあ、簡単にいえば、我々の寿命からみれば、無限とみて差し支えありません。
このことは価格に大いに関係してきます。その植物の寿命が短いのでは、多額の投資は無駄になってしまいます。草花は半年ぐらいしか生きていませんから、安くなければ釣り合いません、長生きする多年草なら、高い価格で手に入れても、殖えることを考えれば十分に元がとれることでしょう。
しかし、長生きの植物には危険が伴います。天災や事故は仕方ないとしても、病気にかかって枯れてしまう恐れがつきまとうことです。栽培では、この点に配慮がなされるのですが万全を期すことは、なかなか出来ないことでしょう。いくら手を尽くしても植物自体が抵抗出来ない状况では、お手上げになってしまいます。私は若い頃、洋ランの栽培も並行しましたが、ウィルスの侵人を食い止めることは不可能に近く、途中であきらめました。どんなに大切にしている優秀花であっても、一度、ウィルスに侵入されてしまったら、二度と元へ戻すことは出来なかったからです。
ストレリチアの寿命が無限に近いだろうというのは、これらの病気に強いからこそなのです。フザリューム菌のような細菌の被害を受けることはあっても、温帯では、非常識な環境に置かない限りは、起こることではありません。一般の植物にとって一番、恐ろしいウィルスに対してさえ抵抗力があるのです。私がアフリカから持ち帰った4種の名品は、40年以上たっても、なんら変わることなく増え続けています
ストレリチアとは何と有り難い植物であることでしょう。