ストレリチアの大型種、有茎種、の葉は長く、大きいのが特徴ですが、自然状態では生まれたままの、無傷なものはありません。どの葉も皆、中心へ向かって、ズダズダに切れ込んでいます。傷だらけの姿に見えなくもないのですが、ストレリチアとしては、これが自然な状態なのです。ハウス内で栽培されているものは、保護されていますから、切れ込みは少ないのですが、これだって全然、ないわけではありません。原因は簡単です。あの大きな葉のまま強風を受けたら、倒されてしまう危険があります。そこで葉が切れて風を受け流してしまうのです。
こんどは無茎種のレギーネです。大抵の植物は個体差があり、それぞれが個性を持っています。ストレリチアだって同じなのですが、レギーネは特別です。葉の幅の変異が大きいのです。丸々とした幅広い葉から、細くとがったような狭い葉まで、数限りない変化を見せるのです。ここまで広い変異がある植物は珍しい、と言っても良いくらいです。
正確な原因は分かりませんが、多分、水分の蒸散量を変えているのでは無いかと思われるのです。葉の面積が広い方が光合成に有利です。しかし、蒸散が多くなりますから、水分の多い環境でなければなりません。しかし、気候の厳しい自生地では、そうそう、この望みが叶えられるわけではありません。雨の少ない土地や旱魃の年は、葉が小さい方が有利なのです。これに対応するために数多くの変異を用意した、と見たらどうでしょう。
この延長が、「パービフォリア」や「ジャンセア」への進化に発展していったのではないでしょうか。