ストレリチア秘話No.164 ストレリチア栽培家の最大関心事は? その1

 ストレリチア栽培家が一番、関心を持つのは花で、中でも最も気になるのが、花が出てくれるか、どうか、の問題でしょう。

「花を多く咲かせるには、どんな肥料のやり方をすれば良いのでしょう」これが多く寄せられる質問です。これには、植物体を大きく育てることが花を咲かせる基本である、との思いが込められています。まあ、それには違いないのですが、それだけでは済まないことなので、簡単には答えられずに困ってしまうことが多いのです。

 ストレリチアは、この単純な図式には当てはまってくれません。早咲きの花芽が顔を覗かせのは7月からですが、外からでは見えない内部で花芽が動きだすのは、もっと早く、すでに6月から始まっているはずです。ところが、この季節は、成長が始まったばかりで、まだ、養分の量はわずかしか溜まっていません。つまり、生長が完結して、十分な養分ができたから花を作り始めた、のではなく、「同時進行」だったのです。

 だからと言って、すべてのストレリチアの花が、こうだ、とも思えません。8月末から9月へかけて出てくる花芽は、十分に生産された養分の背景の上に出来上がった可能性もあるのです。ストレリチアの花は、一筋縄ではないコースを辿るのではないでしょうか。ここで見誤ってはならないことは、ストレリチアの花では、養分の生成は、原料の提供や側面かの援助であって、原因ではないことなのです。大元は「DNA」であって、指令は、そこから出ている、と言うことが出来るでしょう。

 最初の質問に戻れば、肥料は関係ない、とはいいません。ただ、主役でもなければ、原因でもなく、脇役なのだ、ということです。