ストレリチア秘話No.167 迷惑な厄介者ストレリチアもあります!

 ストレリチアの栽培についての解説は、殆どが、どうしたら大きく育てられるか、殖やすには、どんな方法があるか、健全に育てるには、など、など、すべて前向きのことばかりです。私は一旦、ブレーキをかけて立ち止まり、冷静に見渡してみたいと思います。この世の中、そんないいことばかりでなく、困ったこと、具合の悪いこともあるのではないか、ということです。

 ストレリチアは生育旺盛、少々の困難にめげず、がんばって生きてくれます。しかし、この長所が欠点となって、いざ、処分しようとしても、簡単ではなく、迷惑な存在となっても生き続けてしまうことも起きてきます。この厄介者とは花立ちの悪い株です。花に養分を消耗することがありませんから、余ったエネルギーは全部、株が殖える方へ向かいます。呆れるほど、良く殖えます。初めのうちは喜んで株分けして配ったりもするのですが、何時になっても止まりません。呆れて投げ出しても、ストレリチアは枯れてなくなりはしません。結果として、厄介者扱いになってしまうのです。

 もう一つ、生育旺盛なストレリチアに大型種のニコライがあります。これはストレリチアの中で最大に繁茂します。私は以前、南アフリカ ダーバン市の西の海岸地帯で十数キロ以上にわたって自生するニコライを見たことがあります。殆ど密生状態で、他の植物の侵入を許さない純林状態でした。私は呆れた気分で見渡したことを覚えています。アルバはネーチャーズバレーでは植生の主役ではありましたが、それでも周囲には他の樹木もあり、下草は十分に繁茂していましたから独占していたわけではありません。レギーネやジャンセアの自生地では、我が物顔のストレリチアに出会ったことはありません。もっと、慎み深く生きていました。

 ニコライは適当な温度と湿り気があれば、他の植物を押しのけても繁茂する性質があるようです。我が国はニコライにとっては寒いので、こうまで、はびこることはないとは思いますが、先のことはわかりません。これからは、手がけるストレリチアを慎重に選ぶことが必要ではないかと思っています。

・アルバとは
 ストレリチアは、有茎種2種、無茎種26種、共に花弁は青紫色なのに、このアルバだけ白色なのです。アルバとは、ラテン語で「白」を意味します。ニコライやレギーネの中にも、数万、数十万本の中に1本程度に「白色花弁」の株を見たことがありますが、これは突然変異体であって、常態ではありません。

 草丈は10mに達し、他の2種と同じですが、これだけは株立ちとならず、1本立ち、孤立です。

 アルバの自生は、東ケープ州のチチカマ森林の一角の狭い地域だけに限られ、ニコライの南限であるイースト・ロンドンからは、約400㎞も離れています。果たして、この2種の間に、どんな関係があったのでしょうか。現在では、それを推測するすべもありません。
チチカマ森林の女王 アルバ