ストレリチア秘話No.171 ストレリチアに対しての誤解 

 私は今まで何回となく、ストレリチアは「鈍重、鈍感、のんびり、ゆるやか、ゆっくり、気にしない」などとの悪口めいた表現を使ってきました。ここで改めて「正確」な見方を述べたいと思います。

 これらの点の数々は、間違いとは思いませんが、或る一面だけを見ているに過ぎないのです。ここでストレリチアの別な面に目を向けてみましょう。私はストレリチアが、実は「デリケート」な植物である、とも思っているのです。

 それは葉や茎ではなく、花に多く現れるのです。寒さの被害では、真っ先きに花芽がやられます。バッタは葉や茎には目もくれず、萼片を食い荒らします。カイガラ虫は花芽に多く集まってきます。秋から冬へかけて湿った天候が続くと、花びらにシミが入ります。ストレリチアは強い日光が好きなはずなのに、青紫色の花弁は強い日射を受けると白っぽく色がさめてしまいます!これは、どうにも納得がいかないのです。花の美しさを損なってしまうのですから。強風に遭っても葉や茎は平気なのに、花びらは折られてしまいます。このように被害の大部分は花に集中するのです。それは構造が弱く、デリケートに出来ているからです。切り花栽培家は、これらの被害に遭わないよう気を配るのが仕事で、なかなか気を使います。

 花だけではなく、株全体の仕上がりも、神経細かく面倒をみた栽培家の所と、放任された株では全然違った現れ方となってしまいます。ストレリチアは結果を直ぐに表現しません。後から、ゆっくりとするために気がつかないことが多いのです。