ストレリチア秘話No.191 ストレリチア矮性種の生き方

 ストレリチア無茎種には多くの変異が生まれます。草丈だけを取り上げても、2mにも伸びる大柄な系統もあれば、わずか40㎝程度にしかならないコビト種までの広がりがあります。これは、どのような条件の場所に種子が振りまかれても、どれかが生きてゆかれるような戦略によるものでしょう。

 周囲に草が生い茂っている所では高生種でなければ競争に勝てません、大部分のストレリチアが1m以上であるのは、このためでしょう、ところ数は少ないながらも可愛らしいほど背の低いストレリチアも生まれてきます。これは決して間違って生まれてしまったのではありません。自生地には、他の草が近寄り難い、開けた場所も、少ないながらあるのです。大きな岩がゴロゴロしているところ、または岩場の頂上は乾燥するため他の草は生きることが出来ません。そこで乾燥に耐えることが出来るストレリチアなら進出出来るチャンスがあるのです。このような環境ならば背が低くても良く、風に耐えられることでしょう。また、このような場所は数少ないわけですから、ストレリチアも矮性種はわずかしか生まれません。このために栽培にあたっては手に入れるのが容易ではないのです。

 こんなに厳しい条件にも耐えられるように進化したのが矮性種ですから、結果として花が咲きにくい性質をもっているのは致し方ありません。それでも、中には花立ちの良いものもありますから選べばよいのです。それにしても、矮性種を栽培するにあたっては、このことを理解しておく必要があるのでしょう。

矮性種