ストレリチア秘話No.194 ストレリチアと塩害

 私の住んでいる南房総では、十数年に一度ぐらいの割で植物が塩害を受けます。台風の風向きが海からの方角になったとき、海の波しぶきが風に乗って運ばれてきて植物に被害を起こすのです。在来の植生は体制がありますから大した影響はありませんが、畑の作物はやられます。この潮風は数キロも奥地まで吹き込みこともありますから馬鹿にすることは出来ません。

 ストレリチアは大丈夫です。葉や茎に塩気が「べったり」つくこともありますが、安全を考えて、台風が去ったあとに、ホースの水で洗い流せば何ともありません。放っておいても大した被害にはならないのです。

 それもその筈です。ストレリチアの故郷は南アフリカ大陸 南端のインド洋沿いの海岸地帯でいつも潮風にさらされているからです。イースト ロンドン近郊のフラーズベイの自生地は波打ち際までは役100メートルしかなく、ダブルベイにいたっては2,30メートルしかない砂丘の上に自生しているほどです。

 「プルートの谷」自生地は海岸から10キロも入った所ですが、これ以上の内陸にはストレリチアは自生していません。雨が少なく、冬の寒さも厳しいからです。ストレリチアが厳しい環境に耐えるといっても限界があり、やはり、海辺の「穏やかな気候」止まりなのです。

潮風をまともに受けるフラーズ・ベイの丘。
潮風をまともに受ける、フラーズ・ベイの丘。南の方角、遥か水平線の彼方、雲の下あたりがポートエリザベス。