ストレリチア秘話No.199 ストレリチアの将来の夢

 ストレリチアについて、ぜいたくな望みをいえば、それは花色の豊富さでしょう。バラでも、カーネーションでも人気がある原因は、大抵の色が揃っていて使い易いことです。この点でストレリチアはオレンジと黄色の二色しかありませんから不足です。

 先ず、どうしても欲しいのは白い花です。大型種の花は白いのですから、無茎種にもでてくれても不思議ではないように思われるのですが、これが、どうしても、そう簡単には出てくれないのです。大昔、種が分かれてから、あまりにも時間がたちすぎてしまったからでしょう。

 もし仮に将来、白い花が出たとしても、その地位は主役ではなく、引き立て役の脇役となるでしょう。大型種の花を見ればわかるように、強い主張のない、穏やかな印象だからです。でも、それでいいのです。チームの一員としての引き立て役も欲しいのです。

 もう一つは赤い花です。これも、なかなか出てくれません。なにしろ、元々、ストレリチアが持っていなかった色なのです。でも、こちらは、苞の色を強く赤くすれば補いはつくことですから、無理に、とは言わなくても良いでしょう。これらの目的は、人口交配によるかぎり、いつ成功するか、見当が付かないほどの遠い夢でしょう。

 そこで現在、登場しつつあるのが、バイオテクノロジーによる遺伝子組み換え技術です。今のところ、ストレリチアにまで手が回る程には至っていませんが、やがて、可能となる日がやってくるでしょう。でも、私は楽観していません。それは自然の摂理を越えて無理な人口処理を施したら、必ず、反作用、副作用が起きるに違いないと思うからです。 

例えば「今まで病気に強かったストレリチアが急に弱くなってしまった」とか、或いは「今まではなかった新しい害虫の被害が起こり始めた」のようにです。

 「天は二物を与えず」この古い言葉を思い出します。いいことばかりですむ、とは思えません。プラスがあれば、それを補うために必ずマイナスが生じるのです。私は自然に逆らったために受ける「しっぺ返し」を恐れるのです。