ストレリチア秘話No.216 捨てられたのに生きてしまうストレリチア

 先日、ストレリチアの栽培相談に見えたお客さんがありました。私の所では珍しいことではありません。話を聞きますと、以前、手に入れたストレリチアが、一生懸命、面倒を見たにも拘わらず、息も絶え絶えで枯れかけている、とのことです。私は圃場の一角の捨て場に案内しました。そこには半年前、植え替え時に捨てたストレリチアが小山の状態になっていました。枯らして消し去るための場所であるのに、全部ではないものの、十本数のストレリチアが元気に育っていたのです。それを見たお客さんは、呆れて口も利けないありさまでした。私にとっては、いつも見慣れた状況でしたが。

 「手を掛けてやっても、うまく育てないのに、全然、面倒みないのが、よく育っているんて!」と、しばらく考えていますが、「あっ、分かった、日光だったんだ」と叫びました。正解です。ストレリチアが生きていくのに必要なのは、まず、第一に「日光」なのです。自生地のストレリチアは毎日、降り注ぐ強烈な日光を浴びて生きていることを改めて思い起こされました。

 生育のための必要条件は、先ず、日光で、次は水ですが、これは我が国では大きな問題ではありません。何しろ、雨量は自生地の3倍もあるのです。地から離れた状態や鉢植えでは、少々、不足にはなりますが、それだって、枯れてしまう程のではありません。ストレリチアが、そもそも、どんな植物であるのか、を誤解してしまうと間違った扱いをしてしまうのです。

 私の所では、気に入らないレベルの花ばかりではなく、よいものであっても、できの悪いのは、遠慮無く捨ててしむのですが、捨てたつもりが消えてくれないのに困っています。