ストレリチア秘話No.218 ストレリチアと栽培

 ストレリチア自生地の土は、 岩石の崩れた小石まじりで水はけのよい土で、酸度は中性が多いようで、取り立てて変わった特別な土壌ではありません。 このことから言えるのは、ストレリチアには土壌の好みはなく、どんな土でも適応する、ということです。それにしても土の種類によって扱い方が変わるので、くわしく見てみましょう。 地植えの場合は土を選べませんが、鉢植えでは好みによって様々な用土を使うことが出来ます。

 まず、軽石です。 水を含まない硬い岩石の砂利はストレリチアには向いていません。 その点、 軽石は火山性ですから、水や肥料分を含んでくれます。 水はけは最高、水の多すぎる失敗は、まず起こりません。 欠点は逆の乾き過ぎです。 水も肥料も、わずかしか止まりませんから、この欠乏を補わなくてはなりません。 わたしはジャンセアや矮性種に使っています。大きくは育てたくない目的にはピッタリなのです。

 次は砂や砂質壌土です。 海岸地帯に多く、水はけ良く、扱い安い土です。 水や肥料を多めにやればよく、 失敗の少ない土壌です。

 その次は火山灰土で赤土、赤玉土で、 くせがなく、ほぼ標準の扱いです。 鹿沼土は酸性ですから、 おすすめできません。

 最後は粘土質土壌です。 この土はミネラル分が多く、 肥料分を長く蓄えてくれますからストレリチアは、がっちり、堂々とした姿に育ちます。 生育のためには良い土なのですが、それだけに欠点も併せ持っています。 地植えの場合、 雨降り、水やりの後の乾きが悪く、 それが長く続くと 「腐敗病」が発生する基となってしまいます。 つまり、危険でもあるのです。これを防ぐには、 土を高く盛り、 或いはパーライトやバーミキュライトを土に混ぜて水はけ 通気を計ることも必要になります。 反対に、 今度は乾かすと、 信じられない現象が起きます。 水をやっても、やっても、 どこかへ吸い込まれてしまうのです。 乾いた土が大量に水を吸うからです。 常識で判断して途中で止めると少なすぎることになってしまいます。 植物がよく育つ、よい土なのですが扱いが難しいのが欠点といえましょう。

 さて最後ですが。 これらの土は、いずれも腐植質を含んでいませんから、 腐葉土を加えることで完璧となります。 その量は多いに越したことはありませんが、 1割、 多くても2割も加えれば十分です。