前の章、 の No. 218 で、 私は、ストレリチアには土壌の好みはなく、どんな土壌にも適応する、と述べましたが、 少々、 早とちりでした。 正確に言えば、 どうにもならない悪い土もあったのを思い出したのです。 これは、 近頃、 新しく登場したものですから仕方ありません。
10年も前のことです。 ある公共事業で新しい施設が作られました。 その一角に小さな公園もできたので、 私はボランテアでアロエやストレリチアを寄付して植え、 その後も出来る限りの面倒をみることにしました。 問題は最初から起きました。 植えるための穴を掘ろうとしても、スコップが中々、 深く入りません。 やたら、コンクリートのかたまりにぶつかってしまうのです。 表面 5cmぐらいの薄さで赤土を被せてごまかしてあっても、実態は古い建物を処分したときに出る建設残土だったのです。 私は公共事業の手抜き工事をまざまざと見せつけられてしまいました。 とはいえ、私にはどうすることも出来ません。 仕方なく、苦労しながらも植え終えました。 こんな土でもストレリチアなら大丈夫、という楽観があったのです。
ところが、その後、何ヶ月たっても、一年たっても、順調な生育が見えないのです。 私は、あわてて有機質肥料の菜種油カスを大量に施しました。 しかし、 一向に効き目は表れません。消石灰を多めに撒いて、 酸性を調和してみても変化は現れません。 コンクリート混じりの土はアルカリ性だったかもしれません。 そこで私は一つの教訓を得ました。 植物を植えてしまってからでは間に合わない。 土壌改良は植える前でなければならない、と。
近頃、ストレリチアを庭園に植えることが多くなってきています。 そこが古くからの土地でしたら問題は少ないのですが、 もし、 新しく造成した土地であったら 「要注意」 です。 根本的な対策は、健全な山土か畑土を客土すればよいのです。 厚さは50センチまでなくても30センチもあればよいでしょう。 あの性悪な建設残土を改良しよう、 などとは考えないことです。