研究者というのは変人で、一般の人から見ると、「役にも立たないそんなことを、 なぜ、一生懸命にやっているのか?」 と思われることを、平気で続けている人種です。 でも、私に言わせれば、 「現実の栽培上、こうしなければならない」ことを、なぜ、そうなのかを理論上の説明でバックアップしてくれているのです。 やはり、 必要なことをしていると思います。
ストレリチアの長い歴史の中で、最大の出来事は 「レギーネの誕生」 であったのではないでしょうか。 パーヴィフォリアやジャンセアの誕生は、時代が割合、新しいために、ある程度は、たどれるのですが、その前のレギーネの誕生は、ずっと大昔のために、わからないことだらけです。レギーネは、いきなり生まれたわけではないでしょう。親がいなければ子は生まれません。その親とは、大型種の「ニコライ」であったと思っています。とはいえ、この章は全部、私の独断による仮説です。一つの理由は、ストレリチアの中で最も栄えているのがニコライですから、この種から派生したとみるのは自然だからです。
発生の場所はクエレハ川の川口付近だったろうと思います。 なぜなら、 今も、ここにはニコライとレギーネが同居しているからです。 遙か東部のウムフォロジーにも両者の同居はありますが、こちらは移住先で、たまたま、一緒になったに過ぎないのではないかとみています。
困るのは、ニコライからレギーネが生まれたとしても、あまりにも違いが大きいので途中の中間種があったのでは、とも思われますが、実際には全然、存在していません。従って、いきなり大きな変異が起きた、としか考えられないのです
現在、クエレハにあるニコライはみな、 川の水面近くの湿った場所にしかありませんが、昔の湿潤な気候の頃は、もっと上の、今のレギーネの所にもあったのではないでしょうか。それが乾燥した気候がやって来たために、体の構造を変えなければ生き延びることが出来なくなったのです。 「仲間は、 みんな、バタバタと倒れてゆく中で一群だけが頑張って変異を遂げた。」これが、 私の描く「レギーネ誕生」 のシナリオです。ただ、これはあまりにも古い, 大昔の出来事だったので、その後の長い歴史の中で、染色対数まで変わってしまい、両者の交流が出来なくなってしまった、ということではないでしょうか。