ストレリチア秘話No.230 ストレリチアの花の蜜

ストレリチアの花は開花後、晴天の日には蜜をだします。青紫色の花弁の根元が壺のような構造になっていて、そこに蜜がたまる構造になっているのです。サンバードは、そこへ、細く、やや湾曲した嘴を差し込んで蜜を吸うわけです。大抵の花が、そうであるように、来てもらいたい生物だけが飲めるように、それ以外の生物は手が出せない仕組みになっています。花と生物が共に進化してきた結果です。日本のメジロは蜜を吸いたくても、嘴の構造がストレリチアの花の構造には合わないので無理です。蝶やミツバチも同様です。

試しにマッチ棒を壺に差し込んで引き上げて、なめてみて下さい。甘い蜜であることがわかります。ストレリチアの花は、この蜜を晴天の日、つまり、日光を受けた時にしか出しません。サンバードは、これを心得ていて、晴れた日にしかやってきません。それで「サンバード、太陽鳥」と名付けられたわけです。

ストレリチアの花の花弁の下、苞に、薄い茶色の皮膜が付いているのをよく見かけます。邪魔なので、はがして取去ってしまうのですが、実はこれ、蜜があふれ出て干からびて固まってしまったものなのです。我が国にはサンバードはいませんから、折角つくった蜜も捨てなければならなくなってしまいます。日本には代役の生物はいないのです。この現象は気候によっても量に差があるようにも思われますが、正確に確かめたことはありません。