前の章にて変わった花の伸び方のストレリチアについて述べましたが、今度は反対の株のことです。おなじジャンセア ゴールドでも、こちらは「カノープス」です。私のところでは「お宝」ですから、毎日のように目をかけています。初花は4月の遅咲きだったのですが、7月になると、早々と次の花芽を伸ばしてきたのです。今度は2本、花立ちも良好です。暑い夏の間は生育順調でしたから、これは元々は早咲きなのだろう、初花は、まだ力がなかったから遅れたに違いない、と思い始めました。ところが、秋の彼岸も過ぎて涼しい季節がやってくると、生育のスピードが落ちてきたのです。12月になると、
「ああ、これは冬にも咲きそうもない。やっぱり、遅咲きだったのだ!」
とわかってきたのでした。ストレリチアは一株、一株に個性があって、育ち方もそれぞれなのだ、と思い知らされました。まして、人間の側からの勝手な思い込みなどは受け付けてはくれません。良くない花の株を手に入れて、
「その内、よくなるだろう、いや、よくしてみせる」
などと思っても、ストレリチアの方が承知してくれません。