私の目標は「ストレリチアとは、いったい、どんな植物なのか」の追求です。とはいっても、追求のための研究、をするほどの余裕があるわけではありませんから、自分のしでかした失敗の中から教訓を探しだすのが私流の手法です。欲張って肥料をやり過ぎたり、要らないと捨ててしまったのに、こんな結果になるとは、と驚いたり、ものぐさで、判断が甘いために凍らせてしまったり、水のやり過ぎ、 反対の乾かしすぎ、・・・などと数えきれません。
こんな失敗の果てにストレリチアの限界を見つけてきた、といえるでしょう。肥満体の野生動物はいません。例え、秋に多少、肥える動物がいても、それは餌が取れない冬に備えてのことで、春が近づく頃には、蓄えが尽きて、やせ細ってしまいます。野性の生き物はみな、限界、すれすれで生きているのが普通です。これに対し、人間に面倒をみてもらう動、植物は、これでもか、これでもかと栄養を与えられ、中には、生理上の限界を超えるまでの扱いをされるものまであります。生物は種によって、この生態的必要限度と贅沢を、どこまで受け入れるかの差の幅が違います。 飼育家も栽培家も、この限界を知らないと無駄なことまでやってしまうことになるのです。
ストレリチアは、この幅が狭い部類に入ります。困苦欠乏に耐える生活から、急に贅沢が出来る環境におかれても、ほんの僅かしか受け入れてくれません。それ以上は迷惑なのですから、かえってマイナスの効果を引き起こしてしまいます。
・冬の室温を必要以上に上げても無駄なことです。
・肥料のやりすぎは迷惑です。
・水は必要量だけあれば十分です。
・そんなに早く育てといわれても、 無理なことは無理です。
・可愛がるのはいいけれど、 見当違いなことはしないでください。
・日の当たらない室内に一年中入れて置くなんて、 それでは牢獄と同じです。
人の望みがストレリチアの生理を超えてしまうと、やらなくても良いことをやってしまうことになりかねません。 ストレリチア栽培の上級者とは、この限界をわきまえた人、といってもよいでしょう。
やっぱり、ストレリチアは、困苦欠乏に傾いた生活の方が向いているようです。