新しい発見や発明は,必ずしも目指したものではなく、なにかの拍子か、失敗や手違いから生まれることが多いと聞きます。前にも書きましたが、ストレリチアの耐寒性については、誕生時の基本に関わることだから無理な願いであろうと。しかし、育種家というのは欲張りなもので、叶わぬ願いと知りながらも、「万が一」の思いは捨てきれないのです。
2023年2月、10年ぶりの寒さで、前年、発芽したストレリチア実生苗約 600本が、寒さ除けをしたにも拘わ、ず、凍って枯れてしまいました。それでも、約10本が生き残ってくれたのです。これを見て育種家は、あらぬ望みをいだいてしまったのです。
ストレリチアの発達段階で寒さに一番弱いのは生まれたばかりの一年苗です。最高に厳しい試練を潜り抜けたからには、それなりの遺伝を持ち合わせているかもしれない、と希望が生まれてきました。それを確認するには、これからテストを繰り返してゆく必要があります。さあ、結果はどうなるでしょう。完全な耐寒性でなくてもよいのです。今までより、少し寒さに強くなってくれるだけでも大きな進歩になります。名前だけは、既に付けました。「ジャンセアゴールド ice600」です。(ご苦労様なことです)