ストレリチア秘話No.411 ストレリチア 水やりの極意

 これはストレリチア栽培の上級者どころか、もっと上、究極を目指す高段者向けの内容です。ストレリチアの水やりについては今までにも述べてきましたが、今回は見方によっては常識を越えています。

それは一年に一度ぐらいは大灌水どころか、大、大灌水をすることです。軽石植えは水はけがよいので分かり難いのですが、土植えでは1回、大量の水やりをすると、一旦は水が鉢の縁まで溜まり、しばらくすると抜けていきます。これを2、3回どころか、5回以上も繰り返すのです。これでもう、全体がびしょびしょにぬれて、乾いた部分は完全になくなってしまいます。終いには、水をやっても、すぐに抜けるようになります。

 これをやるのは夏の成長期であって、冬にやることではありません。一番いいのは夏の終わりから秋の充実期です。ストレリチアは反応が鈍いのですが、こればかりは2、3日で結果が現われます。目でみて分かるほど育ちがよくなります。それまで続いていた手ぬるい扱いから一転して、目のさめるような手荒い扱いに驚いたからなのでしょうか?でも、そうとばかり言えないようです。

 実は、これ、ストレリチアにとっては珍しい出来事ではありません。自生地での雨はシトシトと穏やかに降ったりはせず、いつもドシャ降りなのです。水たまりが出来るくらいはいつものこと、時には大洪水さえ起きてしまいます。でも、ご安心。雨は、そうそう降りません。ましてや、湿り気が長続きすることなどはないのです。すぐに乾いてしまいますから。

私たちは穏やかな気候条件の中で生活していますから、植物の扱いも「右にならえ」になりがちです。でも、植物の身になると、そうとばかりはいえないようです。でも、間違えないでください。こんなこと、ひんぱんにやるものではないのです。それをわきまえているのが高段者といえるでしょう。