ストレリチア秘話No.417 人とストレリチアの出会い

 ストレリチアは多年草です。一年草の草花とは違って、一生の伴侶となってくれる可能性を持っています。なればこそ、選び方が重大な問題となってくるのです。「人生は、どんな人と出会うかで大きく変わってしまう」と、よくいわれます。それなら、どんなストレリチアを伴侶とするか、は同じことが起きると考えてよいでしょう。

私の所では、一般の趣味家だけでなく、販売目的で仕入れにくる業者さんへの卸売りも同時に行っています。この両者、ストレリチアの選び方に大きな違いがあるのです。業者さんは、殆ど迷わず決定します。目が利く、と言ってしまえばそれまでですが、どうも、それだけではないようです。自分のための品選びではありませんから、冷静な判断ができるのです。「どんな品なら、お客さんが喜んでくれるのか」と、仲介者の立場からの行動なのです。

 一方、趣味家の方は、品選びには、迷いに迷ってしまう人が多いようです。迷うことが悪いといっているのではありません。迷いすぎた挙げ句、選んだ結果がよくないことがあるように思えるからです。

 私のところには、お気に入りのストレリチアが数品種あり、一生眺めていたいので側に置いています。勿論、株分けしたものですから、私だけが独占しているわけではありません。ところが、時々、思い出しては、恋しくなってしまうストレリチアもあります。それは一品物で手元から出してしまったものです。まだ、株分けできないうちに嫁入りしてしまったので、買い戻したいと思うのですが、それも出来ません。

 それぞれが独特の個性を持っています。それでよいのです。一株の中に、すべてを兼ね備えた、完全無欠なストレリチアなど、あるはずがありません。選ぶとき、欠点が気になって迷ってしまう人がいます。自分のことを棚に上げて、相手に完全を求めるなど、許されることではありません。私は「第一印象」で選ぶことにしています。パッと、一日、見ただけで全体がとらえられる、と思っているからです。