ストレリチア秘話No.54 ストレリチアの本質に迫りたい ―研究者の願いー その6

ストレリチアへの道が開く

 最初に紹介されたのが、ケープタウン大学の植物学教室のスカルピ教授でした。専門はランでストレリチアにはくわしくありませんでしたが、もう、わたしは、がっかりしません。まだ、後が控えているからです。それでも教授は、「ストレリチアのことなら、キルシュテンボッシュ植物園へ行きなさい。管理主任のウィンター氏に電話をしておきますから、午後にいってみなさい」

と、道筋をつけてくれました。

 世界的に知られているキルシュテンボッシュ植物園です。観光施設の奥まった研究施設にウィンター氏に案内されて、私は驚きで飛び上がりました。栽培場の一角に、初めて見るストレリチアの黄色花が数株植えられていたのです。私は竜宮城へでもきた気分です。早速、ウィンター氏にお願いして、私が選んだ2株を掘り上げてもらうことにしました。先のことですが、これが親株となって、私のところで大活躍をすることになるのです。植物園では大切な扱いはされてはいたものの、まだ、現在のように、もてはやされる以前の時代だったから、のことなのです。現在でしたら、こんなことは許されません。

 次に私は、ストレリチアの自生地へ行きたいのですが、と話しますと、それでは、とポートエリザベス市に住む二人の人物の名を挙げて、この人たちなら案内出来るでしょう、と教えてくれました。さすがにストレリチアについて詳しいのです。私は、その中の一人、セント ジョージ パーク園長のシェルトン氏に、お願いしようと決めました

さあ、道が開けてきたのです。明るい将来が見えてきました。私は町へ帰ってバス会社で旅の手続きをしました。ケープタウンから東のポートエリザベスまで、約200キロ、一泊二日の行程とのことでした。1999年に訪れ時、聞いてみたら、もう、このプログラムは廃止になったとのこと。もう、あんな、ゆったりとした、ぜいたくともいえる旅をする人もいなくなってしまったのでしょう。

スカルピ教授に招かれたランチの席で、明日はポートエリザベスへ行く、と話しますと、

「誰か友だちはいるか?いないなら、紹介してあげよう、とシェルトン園長あての紹介の添え書きをしてくれました。