ストレリチア秘話No.60 ストレリチア自生調査の副作用?

 アフリカから帰ってきて体調が戻らず、困っていたある日、思い立って近くの大房岬自然公園を歩いてみるこにしました。極端に違う環境のアフリカを回ってきた私は、懐かしい故郷の自然にふれてみたくなったのです。

 大房の、薄暗い、と、さえ言えるほどの照葉樹林の中を歩いていて、ふと気がつきました。「何だか、肩の力が、すうーっと抜けてゆく」感じがしてきたのです。「これは、いったい、なんだろう?」と、考えはじめました。そこで得た私の答えは、

「私は、この緑、豊かで湿っぽい照葉樹林の中で生まれ育ったのだ。この環境は私の体にすり込まれているに違いない。極端に違う環境のアフリカの草原では、強い緊張を強いられていたのが、ここへ帰ってきて、やっと今、ほぐしてもらっている、というこではないだろうか?」

 と。ストレリチアの自生環境調査をしてきた人物らしい結論です。

「アフリカは、あまりにも違う環境なので、違いがよく分かる。こっちは仕事なのだから、まだ、これからも続けよう。だが、自分の足下のふるさとについては、あまりにも無関心で知らなさすぎた。これからは、仕事を離れても地元のことを調べてみよう」

と思い立ち、カメラを手に、毎日のように富浦の地域を駆け回り始めたのです

 ストレリチアの生長はゆっくりですから、仕事は、そう多い訳ではなく、時間のやりくりも自由、十分な活動ができました。

 ようやく、資料も調った頃、ふるさと創生、地域の再発見と、時代の風潮も後押ししてくれて、町の観光資源としても活用すべく、各種のボランテア活動として発展していきました。いま、こんなことを書いているのは、私が老化で引退しているからなのです。