ストレリチア秘話No.99 ストレリチアと特許権、著作権

 特許権は発明家の苦労に報いるために生まれた制度ですが、植物も同じに扱うべきである、との考え方で、徐々に整備されるようになってきてはいますが、植物がもつ独特さのために、なかなか、うまく機能しないのが実情です。オランダでは、植物特許を厳しく実施して、日本の生産者も従うことを余儀なくされていますが、すべての国が、そうなのではなく、我が国では、もっと緩やかな扱いになっています。この問題の難しさは、法を犯しても、その取り締まりが簡単ではないからです。

 だからといって、放置するわけにはいきません。私は育種家として、生み出す側にいるのですが、やはり。権利は守らなくてはなりません。これは一般品種を手にする限りでは関係ないことですが、それが、優秀品種で、しかも、交配親としての価値もあるとなると、簡単にはすまなくなってくるのです。名品が高いのは、この価値まで含まれているからです。入手の際、私は増殖のつもりはない、と分かれば、考慮してくれるかもしれませんが、難しい問題です。

 種苗会社が、「一代交配の種子」を売るのは、この対策です。一代雑種は性能が優れているのは確かですが、それだけではありません。栽培する側が、それを親にして種子をとっても、元通りの性能にはならないようにしているのです。