ストレリチア秘話No.104 質素な、素朴なストレリチア栽培を目指す その3

 これで十分、やっていける、と思いきや、次の年、2020年の冬、私の至らなさを思い知らされることになりました。最初の年の成功に安心した私は、少々、手を抜いても大丈夫だろうと思い始めたのです。そこでやったのは、35坪のハウス、実は、一番、大事なストレリチアが置いてあるのですが、この屋根に張るダイオネットの面積を減らしたのです。高い屋根の上の作業は危険で、楽ではなったのと、ストレリチアが耐えられる限界値を超えるとは思っていなかったことによるものです。それに、悪いことは重なって起きます。21年から22年へかけての冬は、十数年に一度の寒波がやってきたのです。これにはたまらず、大きな被害を受けることになってしまいました。寒さの被害は、冬の長さではなく、わずか1日、いや、数時間の低温で起きるのです。私の採用した栽培法は、ストレリチアの耐えられる限界、すれすれにまで迫ることなので、うっかりすると、それを超えてしまうことが起きやすかったのです。この限界を見極めるのはむずかしいことなので、安全を考えて「ゆとり」を持たせる必要があったのです。それなに、とても、そこまで気が回らなかったのです。

 35坪のハウスの被害は軽くてすみましたが、露地の方はひどい有様となりました。今度の冬は、対策を立てるつもりです。