ストレリチア秘話No.114 植物の流行とストレリチア  その2

 病気の感染症はウイルスが広めていくのですが、植物の流行は、人々の気分の中にありますから、捉えどころがなくて厄介です。つまり、いつ、どんな植物に起きるのか、だれにも分からないのです。ストレリチアは、まだ、スターとして祭り上げられたことはありません。また、これからも地味な存在であり続けることを願っています。一度、人気のトップの座についても、人気の下落することは間違いなく、それが復活するのは、大変なことなのです。エビネを例に挙げますと、江戸時代に1度、もてはやされたことがあるそうで、2度目、つまり、この間のブームは、約200年ぶりのことになります。一度落ちた人気が復活するには人の2世代、3世代では、まだ不足らしいのです。

 ストレリチアにスターになって欲しくない、と思うのは理由があります。その一つは、のんびり、ゆっくりしていて、急激な変化は好まないし、また、出来ないからです。次は、生産体制です。人気が出たからと言って、苗を直ぐに供給することは出来ないのです。それには何年もかかります。やっとで出来た頃はブームは去ってしまっているでしょう。つまり、世の中の動きに合わせることができないのです。仕方なく、今あるもので済ませるしかないのですが、実際にあるのは大した量では。ありません。

 前にストレリチアは、孤高の植物である、と述べました。あのときは、ストレリチアの姿の表現でしたが、今回は、生き方も、そうである、といいましょう。

 世の中が忙しく変化する現代の中で、かまわず、悠然と生きるストレリチアに「ホッ」と気をやすめてくれる有り難さを感じています。