ストレリチア秘話No.325 典型的な無葉を目指し、ようやく到達したジャンセアゴールド

ストレリチア秘話のNO 316, NO 317でジャンセアゴールド誕生の道筋を述べましたが、今回は、その詳細を解説します。

ジャンセアゴールド 第一代で、ようやく、ジャンセアの黄色種が現われましたが、実は、まだまだ、不完全でした。大部分が葉のやや大きいパーヴィフォリアで、辛うじてジャンセアと呼べる小葉系は、わずかで、望まれた無葉は出なかったのです。これは仕方ありません。何しろ、親が葉のあるパーヴィフォリアなのですから。

そこで、小葉同士を交配し、無葉が生まれるよう望みをかけました。第二代の誕生です。成功しました。見込み通りの無葉が3分の1近く出てきたのです。中には、後で「カノープス」と命名した名品まで現われてきました。

それでも、まだ、小葉やパーヴィフォリアが多く出るのが気になりましたが、これはしかたのないことです。セットラーズパークにあるジャンセア黄色原種にサンバードが運んできたのがオレンジレギーネの花粉だったのが始まりです。もし、これがオレンジジャンセアだったら、事は、違っていたでしょうが、それだって不完全でしょう。何しろ、ジャンセアの実生は、やたら、先祖返りをしたがるのですから、相変わらず小葉が生まれてくることでしょう。こうして生まれてくるパーヴィフォリアも長所は持っています。それは、美しい花が多いことです。中には、交配親として使える優秀花まであるほどです。私は葉があることが良くないといっているわけではありません。葉がある方が成長、開花に有利であることは間違いなく、それなりに存在価値があります。無葉にこだわるのは、それがジャンセアとしての極致であり、典型的な姿であることから、いわば標本のような存在だからなのです。しかも、葉がないことは光合成に不利で成長の遅い欠点を抱えているのです。それでも、生長が遅いと嘆くのは、苗を養成する側のことであって、成株を入手する側には、あまり関係ありません。

このようにして 2001年から始まったジャンセアゴールドの旅路は2020年になって、ようやく姿を現すことが出来ました。現在,ジャンセアゴールドは、それに磨きを掛ける第三世代に入ろうとしています。