ストレリチア秘話No.451 ストレリチア栽培を吟味する

 ストレリチアの栽培と一口にはいうものの、それは様々な、広い分野にわたります。ここでは分かりやすく短期と長期にわけて考えてみましょう。水やりや施肥のような目先の必要は、身近な作業なので関心が高いのですが、長い期間にわたって起きてくる事柄は、日々の扱いの中では、直ぐには見えず、よほど後にならないと現象としては現われてこないので、ここで改めて取り上げてみることにしましょう。

 ストレリチアは植え付け後の状態と数年後とでは変わってきます。いつまでも同じ姿ではありません。鉢植えでは3年、地植えでは10年から20年もすると、ちょっと困った状態が起きてきます。

1, 鉢植えでは

 根が育って回ってきて株全体が盛り上がって、水をかけても外へ流れ出て、なかなか中までしみこんでくれない事態が起きてきます。時には、根の育つ勢いが強くて鉢が割れてしまう事件さえ珍しくありません。

 そればかりではありません。いくら肥料をやったからといっても、利いた様子はなく、葉も小さくなり、全体が小柄になった感じがしてきます。美点は株が殖えたことぐらいです。

2,地植えの場合

 根が自由に伸びられ、スペースも広く取れるので長い間、そのままにしておけます。それでも無限ではなく、いつかは掘り上げて、株分け、移植をしなければならなくなります。

 この年数は、その株の特質によって違いますので一概にはいえません。花立ちが悪く、殖えのいい株は短く、花立ちの良い株は、なかなか殖えませんから間隔は長くなります。

 鉢植えと同様で、古くなり、株が殖えてくると花も薬も小さくなり、花立ちも悪くなってきます。この現象は老化とはいえないまでも、性能が下降状態となったことを表わしているのです。

 このような状態になったのは、株分け、移植のサインです。そこで植え替えの作業となりますが、技術上のことがらは他の章にゆずるとして、根本的な条件にふれたいとおもいます。

それは、ストレリチアが細かく、小さく、分けられることを望んでいないということです。株分けには、最低でも2条は付けてください、とはこのことです。ストレリチアは新しく生まれた条には、まだ根がついていません。それなのに1本ずつ、ばらばらにしてしまったら、根のついていない条が出てしまいます。これでは、殖やしたつもりが、減らすことになってしまいます。例外は、条それぞれが離れて孤立している場合だけです。この状態なら、それぞれに根が付いているでしょうから。

 ストレリチアにとって株分け、移植は外科大手術ですから、回復に手間取ります。しかし、その後は、見事に若返ります。地植えから掘り上げて、鉢植えにすることもあります。この場合は、株高が40~50%も低く、コンパクトになります。根が伸びられるスペースがわずかになってしまうからです。でも、それだけ扱いやすくなるのが取り柄です。