ストレリチア秘話No.558 ストレリチアス手法の心得

 お客さんからの連絡が時々、来ます。年賀状もあれば、電話もあって様々ですが、内容で一番、多いのが、

「去年も今年も、花が沢山出てくれて喜んでいます」

 とのことです。お勧めした品が期待通りに働いているのを聞くと、私も嬉しくなってきます。

 私がストレリチア栽培を始めたころは、ストレリチアといえば、みんな荒々しいものばかりで、とても人の言うことなど聞いてくれそうも無いものばかりでした。つまり、どこの馬の骨とも分らない、素性もわからないものがあふれていたのです。それにひきかえ、近頃の改良種は、端正な姿で行儀よく扱いやすくて、育ちの良さを感じさせてくれます。

 こうなってくると、ストレリチアを手に入れる際、その植物の氏、素性から育ちまでも知りたくなってくるのではないでしょうか。その辺から拾ってきた捨て犬、捨て猫ではなくて、系統がどんなものか確かめたい。育ちも、ケージや平飼いの大量生産か、それとも、ブリーダーに可愛がられ、トレーナーによる訓練まで受けてきたのかどうか、と、ペットに近い存在らしくなってきたようです。

 ストレリチアをただの草として扱って来た頃から、もっと水準が上がって、一人前の生物として見なければならない時代がきているように見受けられます。私には、ストレリチアの名品が、草、としてだけには見えないのです。だとしたら、それなりの待遇をしなければならないでしょう。