ストレリチア秘話No.346 スカーレット ドワーフ(ジャンセア ゴールド系)誕生

 2022年12月のことでした。ジャンセアゴールド実生株の集団の中の一株から花芽が顔を出してきました。この系統は遅咲きが珍しくありませんから、少しも不思議はありませんが、よく見ると草型が、やや小柄な矮性なので、これは面白いな、と思った程度でした。

 ところが、年が明けた1月、この花芽の先端が紅くづいてきたのです。2月になると、ますます、色が濃くなってきます。ここへきて初めて、これは期待出来るかもしれないと思い始めたのです。苞の紅い花がすべて初めから紅いを見せるわけではありません。例えば兄弟株の「カノープス」は、成育途中では緑色だけで、開花間近になって、ようやく紅く色づいてきます。色の出方にも個性があるのです。

 それにしても、早くから紅い色を見せてくれるのは有り難いことで、3月になると、ますます濃いとなってきて、間違いなく優秀花だと確言できるようになりました。それにしても遅咲き種は成育がゆっくりで、遅々として進みませんので、付き合う方も、焦れったいこと、この上もありません。の先端の色は確定したので、残るは首の色ですが、これは伸びてくるのを待つしかありません。

 2023年4月28日ようやく開花してきました。苞の濃い紅色は先端の半分ほどと首で残りが緑色です。花は小さいながらも、膨らみがあり、可愛い感じです。ストレリチアの小柄の花として好ましい姿をしています。苞の長さは15センチです。レギーネの標準は18センチですから相当に小さいといえます。しかも、やせて小さいのではなく、丸々と太っているのです。これはストレリチアの新しい境地を開いたといってもよいでしょう。

スカーレットの特徴は花の美しさだけでは在りません。矮性種でもあるのです。但し、極矮性種ほど小さくありません。これでよいのです。花を咲かせられるだけの大きさを備えているのですから。そういえば3月に咲いていたパーヴィフォリア セットラーズパークの花に、よく似ていましたね。[似ている?]当然です!親子なんですから。萼片がオレンジと黄色の違いだけで、の感じはそっくりなのです。