ストレリチア秘話No.427 ストレリチアの環境変化の受容の誤解

 私は、よく「ストレリチアは環境の変化に鈍感」といってきましたが、ここで改めて表現し直そうと思います。ストレリチアは確かに環境に敏感には反応しないのは確かなのですが、部分的には反応もするのです。ただし、その反応は「持って生まれた性質の範囲内に止まる」といえばよいのかもしれません。

 例えば、日照時間の長短の変化に対する反応です。南アフリカのファンダフェンタ一教授の研究によりますと、「ストレリチアは冬の日照時間が少ないと開花が遅れて夏にかかる」との説があります。我が国でも、冬の日本海側や沖縄では長天が多く、日照が少ないことから、開花が夏にずれることが多いので、これは満更、当たっていないことではありません。でも、このことは、元々、咲くことが決まっていたのが、ずれただけのことなのです。何ら、新しい反応が起きたのではありません。この程度ならストレリチアだって反応するのです。

 ひるがえって、花立ちの悪いストレリチアを何とか花を出させようと、日射時間を長くした研究をした人がいました。残念ながら結果は無修で、花立ちには何ら影響をあたえることはありませんでした。日照時間の長短が花芽の形成に関わる植物もあります。しかし、ストレリチアは、そうでなかったのです。すでに起きている行動を早めたり、遅らせたりの変化程度は環境に影響されても、それ以外の、或いは本質に関わることまでは受けつけないのです。ストレリチアが環境の変化に鈍感だというのは、この意味で表現していたのです。花立ちの悪いストレリチアを何とか立ち直させようと、日照時間の研究をしたのはストレリチアの生理を知らず、人の勝手な欲望や思い込みからであったのでしょう。でも、それは見当違いでありました。「おぼれるものは、ワラをもつかむ」はかない行動であったといえなくもありません。

このことは、ことは遺伝、DNAの問題であるのに環境の変化で対応しようとしたことにあります。ストレリチアは、少々、変わった植物です。それなのに他の植物では常識だからと押しつけることは間違いです。これを私が「鈍重、鈍感」と表現してしまったのです。