ストレリチア秘話No.621 ストレリチアの世界も変化しています。但し一部分だけ。

 私が今、一番、気にしていることは、ストレリチア世界の変わり様です。簡単に言えば、昔と情況が違って来ているのではないかと思える点があることです。

 第一の大きな変化は、貴重な情報の入手が楽になり、高度な知識が広まりやすくなったことです。これにはインターネットの果たす役割が大きく働いています。昔の情報伝達は雑誌のような印刷物が中心で、内容も一般的なものしかなく、最高レベルの情報の入手は特殊なルートしかありませんでしたから、一般の人は「つんぼ桟敷」に置かれたようなもので、進歩の仕様もありませんでした。

 インターネットの働きも、初めから優れていたわけではありません。初めの頃は、頼度が低くて役に立ちませんでしたが、働き始めたのは、つい、最近のことです。これは、情報の送り手と受け手の両方の意識の高まりによるとみてよいでしょう。だからといってインターネットすべての情報がよくなったわけでもありません。「玉石混済」は相変わらずつづいているわけですから。

 このようにインターネットのおかげで高度な情報の入手は楽になりましたが、いいことばかりではありません。私のようにストレリチアの語り人として情報の送り手側からみると、自分が送り出した高度な情報が、果たして正当な評価を受けているか、どうかが心配になるのです。情報というのは、貴重なルートでしか手に入らなければ大切に扱ってもらえるでしょう。でも、インターネットのような公開では、その貴重さを判定するのは受け取る人次第になってしまいます。送り手側から見れば、情報公表、であれば、あるほど、どれだけ信頼されているか、どうかが気になるのです。

 それでも現代は情報の入手が楽になったのは有り難いことです。でも、それは情報だけのことであって、実物入手の難しさは昔と変わっていない事なのです。ここの所が理解出来ていないのが現代人の欠点ではないでしょうか。現代では情報入手と同じように物の入手も通信販売で楽に手にいれようとするのが普通です。ところが。ここで間違いが起きるのです。高度な品は、高度な情報と同じで楽に手に入る物ではないのです。通信販売が有効なのは、極く一般的な品だけに限られるのです。そこでストレリチアの優秀品種を手にすることが出来るのは、昔ながらの手段に頼る人だけとなってしまうのです。現代で楽になったのは情報入手だけなのだと知らなくてはなりません。