ストレリチア秘話No.679 花粉を付けて回る交配作業は楽しいものですが

新しい品種の作出を目指して花粉を付けて回る作業は楽しいものです。育種家だけがする仕事で、これによって今までになかった品種が生まれるかも知れないのです。実に素晴らしい、劇的とも言える仕事です。

先ず、最初は、今までになかった花を想像し、果たして、それが可能なのかの見当から始まります。その場所はどこでも良いのです。必ずしも栽培場でなければならない理由などいりません。歩きながらでも、風呂場でも、どこでも構いませんが、不思議とストレリチア花を見ている時のひらめきが多いようです。

欲も、思くも、このひらめき次第です。但し、これはアイデアだけと言っても良く、組み合わせは、人の思い通りに進むとは限らないからです。ここが又、面白いとこす。思い通りになるなら簡単な仕事として片付けられてしまうことでしょう。ひとの言うとおりになるか、ならないか、やってみなければ分らない、からこそ価値が生まれるのでそれでも、初めは望みの親株が揃わないなどの厄介な問題はつきものですから容易とではありません。それでも、自分が目指した品種が生まれたときの喜びはたとえようがません。このためにこそ、頑張ってこれたのですから。