ストレリチア秘話No.267 ストレリチアの移り変わり

 ストレリチアも栽培期間が長くなるにつれ、様々な変化が生じてきています。先ず、花色がオレンジ色から黄色に移ると、花だけでなく、外見や強健さも変わってきました。オレンジ系は相変わらず、先祖代々からのたくましい強健さを外見の姿と共に承けついでいますが、黄色系は、葉幅がやや細く、女性的な草型となりました。強健さ、の方は、どうなったか、 まだ、よく分かっていません。ジャンセアの黄色種も同じです。原種から、既に、やや細い感じです。 従ってパーヴィフォリアも同じ傾向を示しています。花色だけが独立して変化するわけではなく、他の形質も同時に抱き合せで変化するようなのです。この点、ストレリチアは部分的にメンデルの法則に従っていません。分離、独立の法則はエンドウ豆のことなのです。このことから考えますと、様々な改良を加えてゆくと、これからも、この傾向が続くものと思われます。 これは何もストレリチアに限ったことではなく、 生物全般に通じる事柄だからなのです。例えば、豚、にわとり、犬と、皆、同じ傾向を示しています。 簡単に言えば 「野性を失った家畜化」 で、人間にとって都合のいいように選択育種されてきた結果なのです。

 遺伝はゼロサムゲームですから、欲しいカードを手に入れるには、手持ちのカードを一枚、捨てなければなりません。 園芸作物の場合は、 耐病性を失うことが多く、困っているのが現状です。突然変異でも、生存に関わる変異が多く現われ、また、不都合な変異が多いので自然陶太によって消し去られる、といわれていますが、 それを潜り抜けた場合は問題も起きてきます。望まれる良い変異は滅多に起きないのです。

ストレリチアに、これから、どんな障害が起きてくるか分かりませんが、 品種改良を目指す限り、家畜化は避けられないことでしょう。