長い間、「道の駅」のストレリチア担当を手伝っていて、 お客さんの相手で、困ったことがありました。 シーズン中、始めから終わりまで、一度も、ストレリチア満開の風景を見せることが出来なかったことです。これには、お客さんも、「いつ来ても、ストレリチアはパラパラしか咲いていないのね。 いつ来たら満開が見られるの?」と不満足の様子でした。
「ストレリチアは一斉に咲くことはありません。 少しずつ、長い期間に分散するのです」と答えても、普通の花が一斉に咲くのばかり見てきた観光客には、なかなか納得してもらえませんでした。
ストレリチアは種子の発芽も早いのもあれば、遅いのもあり、 開花も早咲き、遅咲きと10ヵ月にも分散します。早く育つのもあれば、ゆっくり組もいます。1株のなかでも開花時期に差があります。だから、「分散」こそがストレリチアの特性なのです。これは自生地の降雨が不定期だからが元といえましょう。このような条件のなかでは、或る一時期だけに集中して行動したのでは、外れが大きく、絶滅の危機にさらされてしまいます。 そこで「分散」の戦略で対処してきたのです。
集中しないは欠点とはいえません。 分散するからこそ、安全であり、また、楽しみも長いのです。短期間に満開の姿を見せる花ばかりでは、深い味わいは得られないことでしょう。