今回は堅苦しさから離れて、気楽な、とりとめも無い話しです。それでいて、ストレリチアから離れようとはしないのですから、背負った「業(ごう)」は、なかなかに深い、と自分でも苦笑いしています。
私の仕事柄、扱う花の名称は、実は最高に、というか、基本的に、というべきか、大切に取り扱うべき事柄なのです。私の相手となる人々は、私が専門家であると思っていますから、私が何と呼ぶかによって、「ああ、それが正しいのですか」と影響を受けてしまうだろうからです。この花を何と呼んだらいいでしょうか?
- 極楽鳥花
それとも
- ストレリチア
両方共、正しいに決まっています。片や、「和名」、片や「学名」ですから。いえいえ、そんな堅苦しいことではないのです。普段、気楽に使うとしたら、どっちですか、ということなんです。社会一般では、両方が入り交じって使われています。それでは困るので、どっちにするか?専門家に従えば間違いないだろう、となるのです。これは責任、重大です。
観光施設でお客さんの相手をしていますと、気楽に楽しもうとする人たちが大勢やってきます。
「極楽鳥って、極楽にいる鳥のこと?その花って、やっぱり、極楽にあるのかしら?」「極楽、なんで線香くさい、なんだか葬式をイメージしちゃうなー」「この花、葬式の盛花によく入っているよね」と、言いたい放題。
そこで私が、「極楽は翻訳で、元はバラダイス、楽園なんです。言い易くするために極楽にしたんですよ」と解説しても上の空、「あ、そう」でかたづけられて、納得した様子はありません。どうも現代の日本人は、極楽といえば、「地獄、極楽」のイメージしかないようです。私自身は「極楽鳥花」は良い名前だと思っているのですが、世間一般の受け止め方は違っているようなので、仕方なく「ストレリチア」の方を多用しています。学名の方は味気なく思えますが、実は由緒ある名前なのですが、解説がないと分かりません。
なんとなく呼んでいるように聞こえる「ストレリチア」にも背景があったのです。
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