南アフリカのアロエの解説書には、「孤立型」「叢生型」という説明が、よく出てきます。
これは、その品種の個体が最後まで一本のまま、成長を続けるか、株が分かれたり、子株が出たりして集団となるか、を分類しているのです。
しかし、一方では、品種の特性とは関わりなく、最初は孤立であったのに、長い間に殖えて叢生の状態になってしまった、という現象も起きてきます。ストレリチアは株が分かれて殖えますから初めの頃は孤立していても、終いには大きな叢生の塊になってしまうことが起きてきます。これには、増えの、良い、悪いの差がありますから一様ではありませんが。
ストレリチアの自生地の観察では、長い年月の経過にもかかわらず、例外を除いて、叢生して、見苦しくなった姿は、殆どありませんでした。例外は、ユイテンハーグのジャンセア自生地の一角でした。ここは古くからの自生地らしく、十分な年月を経て、株が分かれた結果なのでしょう。それでも、自生地、全体ではなく、一部分だけが、踏み入ることが出来ないほど叢生状態でした。
切り花栽培のストレリチア ハウスで、混みすぎて、どうしようもなくなっているのを見かけます。これの一番の原因は、増えの良い系統を植えてしまったことにあります。困ったことに、この系統は花立ちが少なく、余ったエネルギーが株の殖える方へ向かってしまうのです。叢生すれば、花は、ますます少なくなってしまいます。採るべき処置はありません。
株分けで仕立て直しても、また、同じ事の繰り返しなのですから。ストレリチアは自分の周囲に一定空間があることを望んでいます。それなのに、自分から殖えて、これを破ってしまうのも出てくるのです。このような系統には近寄らないのが無難です。
例え、あまり増えない優良系統であっても、長い間には株が分かれて殖えてきます。ストレリチアは叢生を嫌いますから、こうなると、仕方なく株分けすることになります。こうなると、多少の障害はまぬかれません。この方法は他の章に述べてあります。
これで、スッキリした気分で栽培が開始できます。