ストレリチア秘話No.406 ストレリチアと微気象

 生きるか、死ぬかの狭間これは相当にハイレベルな事柄ですから、上級者向け、といってよいでしょう。

 ストレリチアの栽培では、一番、気を使うのが寒さ対策です。ストレリチアを0°C以下の低温にさらしてしまっては元も子もなくなってしまいます。このため、普通は安全を考えて必要限度を超える設備や対策を施してきたのが今までの栽培です。それは、正確な限界が分からないために仕方ないことだったといえるでしょう。

私の長い間の経験では、長い冬の寒さが続くとはいえ、ストレリチアが凍るほどの低温は、地域によって差がありますが、私の住む関東南部では、僅か1,2日、多くても3,4日ぐらいしかありません。それでも、この1日、いや、数時間でも凍らせてしまえばアウトになってしまいます。見方を変えれば、この数時間さえ、しのげばよいことになるのです。

 地植えであれば、寒冷紗をかぶせる。花が付いていたら、ポリ袋を被せればよいのです。

ただし、通気用の穴を開けておかなければなりません。鉢植えで室内やベランダに置くのでしたら、ポリ袋だけで有効です。植物が凍死するのは、何も零下何度の大げさな低温ではないのです。生きるか、死ぬかの境目は、ほんの僅かな温度差なのです。

 この小さな差のために高価な施設や燃料を使うのは過剰防衛といってもよいでしょう。

ただ、僅かな寒さの違いを避けるといっても、経験を重ねる必要がありますし、また、年によっても寒さの違いがあるでしょう。安く、手軽に、とはいってもリスクを避ける事は出来ません。