ストレリチア秘話No.428 ストレリチア栽培の究極

ストレリチアは自生地を離れて世界各地に広まってきています。自生地そっくりの気象条件の所は殆どありませんから、それぞれの地域が、それなりの補いをつけなければなりません。水の不足に悩まされる土地が多いのですが、我が国では、その心配はありません。

代って、困るのが冬の寒さです。日本は温帯地域が多いとはいえ、その低温がストレリチアの耐えられる限界を少々、越えてしまうことです。ただし、有り難いと思うのは、これが、僅かな差であるので、工夫次第で乗り越えることが出来ると言じています。

資材が乏しかった昭和30年代までは、相当に困難なことだったのに、高度経済成長期以来、豊かな時代となり、ハウス建設、石油を燃料と楽になって来ましたが、近頃は、資材、燃料共に高価となり、これでは引き合わない時代がやってきています。考えてみれば、これは、やりすぎだったのではないでしょうか。自生地のストレリチアは、なんら施設に頼ることなく、素のまま、植物だけで生きているのですから。

風や霜を防ぐために最低限のハウスは許されるとしても、暖房のために石油や電気に頼るのは、時代の要求にそぐわなくなってきているのは確かでしょう。最低温度が10°Cや15°Cの中、高温植物なら兎も角、ストレリチアは凍らせなければよく、最低、摂氏1°Cが保てれば生きていけます。仮にストレリチアを冬に高温で育てたとしても、いいことが、そうそう起きるわけではありません。せいぜい、生長が少し早まる程度の違いしか起きません。無駄なことです。

 ハウスの保温は二重張り(内張りともいいます)をすれば完璧に近い状態となります。

 暖地なら、ごく薄いポリエチレンでよく、寒地なら厚手の資材であれば、なおいいでしょう。この内張りは、風の吹き込まない室内ですから、ごく簡単なやりかたで十分です。この他、外側を保温材で囲う、など、様々に工夫を加えればよいのです。

 ハウスに頼らない栽培も可能です。暖地に限られますが、東京の都心もヒートアイランド現象のために含まれます。ここなら、ベランダで栽培が可能です。開花には、それなりの温度が必要なので、花付き株だけは真冬だけ室内に取り込みます。花の観賞には便利で冬越しを兼ねて一挙両得です。事実、多くの人が実施しています。

 とにかく、ストレリチア栽培は、寒さ対策が一番の事業で、それには、如何にしてお金を駆けないかにつきます。少々、労力がかかることがあるかもしれませんが、これはしかたありません。