前章、No.432ではストレリチアが浴びる光線について述べたのですが、今度はストレリチアを取り巻く大気についてです。一口にいってストレリチアの自生地、南アフリカの大気は、我が国、日本よりは、よほど乾燥しています。ストレリチアの自生地巡りをしていて困ることの一つが、空気の乾燥のために、やたらと喉が渇くことです。朝、出発する時にジュースや水を、いやというほど飲み貯めても、お昼まではもちません。飲み水は携帯必品なのです。とはいえ、こんな現象を起こすのは日本人の私だけで、現地の人々は全然、苦にならないことなのです。日本の冬だってアフリカに負けないくらい乾燥しますが、その時の私は、日本の梅雨時の湿った空気になじんだ体だったからなのです。
アフリカ大陸の内陸部は地中海性気候で夏は高温でも湿度は低く、乾燥しています。ここが日本と違う所なのです。ストレリチアの自生地は海岸地帯ですから、この点は多少、緩和されていますが、それでも日本の夏と比べれば乾燥しています。つまり、からっとした暑さなのです。
日本で育てられたストレリチアは、夏の成長期の湿度の高さのために、やや、柔らかく、徒長気味の感じがしてなりません。ストレリチアは適応の幅が広いので根本的な影響にまでは至っていないと思うのですが、それにしても、いいことではありませんから、秋から冬にかけて低温に会わせたり、出来るだけ強い光りにあてたり、通風をよくしたり、株同士の間隔を広くする、などの操作が必要になってくるのではないでしょうか。
このことはレギーネに顕著に表われ、パーヴィフォリアやジャンセアでは、気を付けて観察しないと気がつかない程度です。ストレリチア栽培も、高段者?になると、このように奥が深いレベルに突入します。

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