ストレリチア秘話No.772 ストレリチアに次々に起きる平均化抵抗する育種家

 次の新品種育成の親株と期待している株の花が咲いてきてがっかりしているところです。

 花立ち超抜群、花が出過ぎて困る形質なので交配親として使おうと待っていたのです。それが咲いた花には花粉がない「雄性不稔」だったのです。幸いメシベは健全なので種子は採れますが、本来は花粉を使いたかったのです。

 植物は改良が進んでくると、遺伝上に障害を持ったものが現れやすくなります。変わり者はこれ以上殖えてもらいたくないとの自然の摂理なのでしょう。このように全体を元の姿に戻そうとする動きを『平均化』と呼んでいます。今度は花粉でしたが、メシベが死んでいて種子が出来ない不稔もあります。これでは進歩がないと逆転を目指すのが育種家なのです。さて、困りました。次の方法を考え出さなくてはなりません。

 このように私の仕事は、ある意味では自然に逆らうことにもなりかねないこともあるのです。