ストレリチア秘話No.440 ストレリチアの歴史上エポック その3

4, 花立ち抜群種の増殖

 ストレリチア栽培の基本の話です。ストレリチアを選ぶ際の第一条件は「花立ちの良さ」にあります。ところが、以外にも、これが守られていません。平気で花立ちの悪い株の栽培を続けて居る人が多いのです。これは、どうも花立ち抜群の優秀品種の存在を知らないために、自分の持っている品が、どの程度の水準にあるかを知らないことにあるらしいのです。

 花立ち抜群種は驚くほど花をつけます。こんなに出て大丈夫なのか、と心配になるほどです。そこで困ったことも起きてきます。出た花芽を全部は咲かせ切れずに途中で終わってしまうことも起きてくるのです。これは在庫の養分を超えた数では賄いきれなくなってしまうからです。また、咲かせ終わると、在庫が空っぽになってしまい、翌年から1,2年は休まなければならなくなってしまうことです。でも補う方法はいくらでもあります。花芽の数が多すぎたなら必要な数を残して、後は掻き取ればよいのです。休まれるのは、植物の生理上のことで仕方ありませんから、控えの補欠、ピンチヒッターを用意しておけばよいのです。花立ちの悪い系統は、どんなことをしても花を出してくれないのに対し、花をコントロールする事が出来るのは、どんなにすばらしいことでしょう。

 ところが残念なことに、こんなすばらしいストレリチアも、まだ、ほんの数株しかありません。これから増殖していかなければならないのです。多分、10年から20年はかかることでしょう。他の事柄の年数と違って、こちらは研究者の実質の時間です。

 ストレリチアの歴史から見ると、花立ち抜群種のうねりは、波の高さは大したことはありません。しかし、幅が広いのです。これに乗らないと、とんでもない方向へ流されてしまいそうです。私たちに求められるのは、このストレリチアの歴史の流れの中で、自分がどこに位置しているかを知ることです。大きなうねりを見つけてスイスイと動き回るサーファーなのか、波間にただよって、ただ流されているだけの流木なのでしょうか。