私は最近、ストレリチアとは別に「マルーラ」というアフリカ産の果樹栽培のテストを始めています。この植物はアフリカ原住民にとっては「宝物」のような存在です。果実からは酒が簡単に造られ、種子は食用に、絞った油は高価な化粧品となる、有り難い植物なのに、人工栽培の例を聞かないのです。不思議に思って試してみることにしたのです。栽培条件はストレリチアと同じ程度らしいので気楽に始めたのですが、半年経過で、もう、とまどっています。ストレリチアと同じには育ってくれないのです。
11月末、そろそろ、寒さが近づいたので、露地から霜除け遮光されたストレリチア圃場に入れました。ところが、半月もしない内にしおれ始めたのです。テスト栽培ですから、いろいろな環境においてあります。その中で、軒下の直射日光にさらされていたのだけは元気なのです。まだ、霜の季節ではないので、寒さでやられたのではなさそうです。考えられるのは、弱い光には耐えられなかったのだろうということです。ストレリチアの圃場においたのですから、ストレリチアはなんでもなかったのは当然のことです。マルーラの自生地は広々とした半砂漠のブッシュ地帯です。ストレリチアだって同じ条件の出身です。それなのに差が起きてしまうのは、環境の変化に対する受容度の差であるとしか思えません。
今までにも似たような経験をしたことがありました。それはストレリチアの自生地にほど近い地域の産、プロテアでした。種子の発芽は出来ましたが、日本の夏の蒸し暑さ、特に夜間の暑さには耐えられなかったのです。このことで、温度の差、低温ではなく、高温も障雪になるとは知っていたのですが、まさか、光の不足まで影響するとは思ってもいませんでした。
こんな有様ですから、マルーラには、これからも困らせられることが続くことでしょう。