ストレリチア秘話No.456 植物は「根」こそが頭脳だ!という考え方が出てきています。

先日、欲しいと望まれて、ジャンセア オレンジ*****星が選ばれました。まだ、蕾の段階ながら、苞の先端が赤く染まっている美しさに魅かれてしまったのでしょう。ところが、困ったことに、立派な、重い鉢に植えられているので、そのままでは、とても発送には耐えられません。しかたなく、鉢を抜くことになりました。実は、この品種、私が気に入っていたので、簡単には移動できない鉢に植えておいたのです。それが、やっぱり、見つけられてしまい、嫁入りしなければならなくなってしまったのです。

根が、どうなっているか気にしながらの作業で、私にとっては緊張の場面です。何しろ、栽培の良否は根の生育状況に現われるのですから、私の技術が評価される一瞬です。僅か3ヶ月前に移植したばかりですから、まだ、立ち直っていないかもしれないのです。結果は驚くほどの生育状況で万々歳でした。地上部よりも根の方が立派なくらいです。おかげで安心して発送することが出来ました。

 近頃、「植物にも知性がある」との説が浮上してきています。まだ、「植物には、神経も脳もないのだから、知性があるはずがない」と頑固に反対する勢力が強いので、結論は将来の事になるでしょうが、動物とは違うメカニズムなのだ。どうも、根が頭脳の働きをしているのではないか、と主張する人もいます。その説によると、地上部の葉や茎は光合成のため、花は子孫を産む性的な器官であって、最も重要な司令塔は根なのだ、といっています。ですが、これは、まだ、確定されていない未知数の主張です。

 それでも、ストレリチア栽培のベテランなら、「根の健全な育成こそ、栽培の基本である」

 ことは納得するでしょう。しかし、困ったことに、根の状態は外から見えないのです。仕方なく、地上部の観察から見当をつけるしかありません。そこで、唯一、確認出来るのが植え替え時なのです。ただし、ストレリチアの場合、精密には根の構造は二重になっていて、一見、根に見えるのは根ではなく、貯蔵根、根茎であって、実際の根は、そこからでている技についている方で、紛らわしいのですが、まあ、簡単には根茎の育ち具合で判断しても間違いではありません。

 ところで、私のストレリチア圃場で、放置、放任栽培の一角があります。元はガラス温室だったのですが、台風に吹き飛ばされてしまい、しかたなく、そのままにしてあるのです。

 冬の霜に当たると、被害を受けて茶くなりますが、春、夏が巡ってくると、また、元通りに復活します。なぜ、こうまで、しぶとく生きているかと言えば、肝心の根が地中で保護されているからなのです。地上の葉や茎が凍っても、成長点さえ生きていてくれれば、根が生長を保証してくれます。ストレリチアとは、強い植物なのです。