ストレリチア秘話No.519 ストレリチアも初めはストレリチアらしくない?

 ストレリチア愛好家の大部分は一人前の成株しか扱っていませんから、ストレリチアとは、こういうものだ、という一定の観念を持っています。ところが私のように小さな苗も同時に育てている側は、小苗と成株は、同じストレリチアでも扱い方を変えなければならない場面に多く出会います。このことは、頭では分っていながら、つい、混同してしまい、失敗を繰り返してしまうのです。

 その1つ、小苗は寒さに弱いことです。これを甘く見たために、400本の苗を枯らしてしまったことがありました。自分では、弱いことは承知していたつもりでも、防寒対策が不十分だったのです。私が考えていたよりも寒さに弱いことが知らされました。

 その2は、葉が薄く、柔らかいことです。(これは第一の原因でもあるのですが)夏、強い日光を受けると葉を巻きます。水分の蒸散を防ぐためでしょう。でも、一方においては、早く大きくなるには光合成を盛んにしなければならないので、葉の面積を広くしなければならず、その結果が引き起こしたことでしょう。この現象は青年時代まで続きます。

 葉や薬柄が厚く、硬くなり始めるのは3年生頃からですが、この辺りから、寒さや障害にも強くなり、ストレリチアらしくなってきます。このことは、未熟な期間は、身を守るより、育っための光合成を優先させているからだと思っています。

 このようなストレリチアの行動は、「生長の過程は、進化の道筋を繰り返す」

 との考え方によれば、ストレリチアが地上に誕生したころは、まだ、暖かく、湿潤な時代で、今も小苗は、そのころの状況を再現している、と見ることも出来ます。ただし、これが正しい見方であるか、どうか、は分りません。