No.529でストレリチアとサンバードとの関係を見てきました。ストレリチアがサンバードに授粉のために来てもらうにあたっては、蜜を用意し、花を魅力的に整えています。これを一方から見れば、花が鳥を家畜化しているといえますが、逆の側から見れば、鳥が、そう、仕向けている、ともいえます。つまり、お互いが利用し合っているだといえなくもありません。ことは一方的では無く、双方向なのだと見るべきなのでしょう。
近年になって、そこへ人間が、一枚、加わってきたのです。そのために、この戦略の進行が速められてきました。品種の改良とは、人の欲望の方向に進められますが、一方のストレリチアの側も、それによって大切に扱われ、種、全体が繁栄してゆく、というメリットを受け取ります。必ずしも、人間だけが利用しているのではなく、植物が人間を勤かし、家畜化しているのではないか、とさえ思われてくるのです。
近頃の高度な趣味家の栽培しているストレリチアは、切り花栽培農家の水準を遙かに越えたレベルになりつつあります。これらに与えられる養分や保護のサービスは大量栽培に比べて、遙かに高度で、それに見合ったパフォーマンスで満足を与えてくれます。
「あなたが私の面倒をみてくれるなら、もっと、もっと、あなたを楽しませてあげましょう」となります。こうなると、もう、ただの植物栽培を越えて、動物のペットの扱いに似てきます。或いは、単なる庭や玄関の装飾物ではなく、仲間、いや、それ以上のパートナーとしての待遇です。
ここまで突き進んでしまうことが、良いか、悪いか、今の私には判定が下せません。